2015年07月19日

急増!若者を狙ったマルチ販売トラブル

 私は,たまに消費者行政センターに行き,相談員さんから,日々の業務の中での困りごとにつき,ご相談を受けているのですが,最近しばしば目にするのが,大学生等の若者を狙い,金儲けソフトの販売を勧誘するマルチ販売トラブルです。

 具体的な内容は,次のようなものです。
@ 大学生が,先輩から,投資ソフトの購入を勧められる。
A 新たにソフトを購入する人を紹介し,その人がソフトを購入すると,購入代金の1割をもらえる。
B 先輩から紹介された人から,「投資ソフトの他に,専用パソコンも必要である。」と説明を受ける。
C 「お金がない。」と言うと,「バイト先の会社で正社員として働いていて,年収が●●万円あると言えば,消費者金融からお金を借りられる。」を言われる。
D 消費者金融からお金を借りて,先輩から紹介された人に渡す。

 上記のように,自分が購入した商品を,他の人に販売することで利益を得られると勧誘し,売買代金を支払わせる取引を,「連鎖販売取引」と言います。

 事業者が,連鎖販売取引を行うときは,法律で定められたことを記載した契約書面を消費者に交付する必要があります。
 そして,消費者は,契約書面を受け取った日から20日間は,クーリング・オフをすることができます。契約書面に不備がある場合は,不備のない契約書面を受け取るまで,クーリング・オフの権利が留保され続けます(20日の期間が進行しないということです。)。

 消費者金融からお金を借りる前の段階(上記のCまで)であれば,クーリング・オフを行使して,契約を取り消せば足ります。
 問題は,消費者金融からお金を借りて,事業者に渡してしまった場合(D)です。この場合も,事業者と連絡が取れれば,クーリング・オフを行使して,返金を求めることができます。しかし,事業者と連絡が取れなくなったような場合は,返金を求めることはできなくなってしまいます。このような場合は,消費者金融に対する借金だけが残ってしまうことになります。

 大学生になると,消費者被害にあう機会が次第に増えてきますので,親御さん共々注意をしていただく必要があります。お子さんには,「安易に儲かる話には,注意するように。」と伝えていただきたいと思います。

 少しでもおかしいと思ったら,川崎エスト法律事務所(http://kawasakiest.com)までお問い合わせください。
posted by 大橋賢也 at 16:15| Comment(0) | 日記