2017年01月16日

自己破産の免責不許可事由と裁量免責について

 最近、法律相談の中で複数の相談者から、気になる話を伺ったので、注意喚起の意味も込めて、ブログに書くことにします。
 それは、自己破産における「免責不許可事由」と「裁量免責」について、弁護士の中には間違ったアドバイスをしている人がいるのではないか、ということです。
 
 自己破産とは、債務を返済することが不可能になった人が、裁判所から支払不能と認めてもらい、最終的に免責許可決定という決定を出してもらい、債務を返済する必要をなくすための制度です。
 
 他人(他社)から借りたお金は返さなければならないのは当たり前ですが(少なくとも道徳的には)、だからといって、いつまでも債務者に債務を背負わせ続けるということは、その人のみならず、社会にとっても良くないことなのです。 利息制限法という法律で、借り入れた金額(元本)が@10万円未満の場合は年2割、A10万円以上100万円未満の場合は年1割8分、B100万円以上の場合は年1割5分が上限金利、というように非常に高い金利が課せられることが法律で認められています。そのため、一度消費者金融や信販会社等からお金を借りると、毎月利息を支払うだけで終わり、いつまでも元本を返済しきれないという状況に陥ることが多いのです。まじめに働いても、いつまでも借金を返しきれない状態が続くと、その人は、働く意欲をなくしてしまうかもしれません。そのような人が社会に多く存在すると、社会全体が健全に発展していかなくなる恐れがあるということで、破産法が免責制度(債務を返済しなくても良くする制度)を認めたのです。
 
 ただ、どのような債務者も破産が認められるかというと、そうではありません。やはり、免責という制度は、債権者に迷惑をかけることになるので、一定の事由がある債務者には免責を認めるべきではないという価値判断もはたらきます。そこで、破産法は、免責不許可事由という「これをやった人は、免責が認められませんよ。」という制度も作っています。その代表例が、「浪費」です。ギャンブルをやるために借金をしたとか、キャバクラに行くために借金をしたような場合が「浪費」に該当します。
 
 では、「浪費」に該当する事由がある人は、みな免責が認められないのでしょうか?借金を背負った人の中には、程度の差こそあれ、「浪費」が認められる方もいます。そのような人たちをすべて「免責不許可事由があるので、免責を認めない。」としてしまうと、破産法が免責制度を設けた趣旨が失われてしまうのではないでしょうか。

 そこで、破産法は、免責不許可事由があっても、裁判所が、裁量で免責を認めるという「裁量免責」という制度も設けています。つまり、多少の浪費があったとしても、最終的には、裁量免責が認められる可能性が非常に高いのが実務の取扱です。浪費の程度がひどいと思われる場合も、破産管財人という裁判所から選任される弁護士が、浪費の内容や程度、浪費をするに至った経緯、その後の事情等を調査して、裁量免責相当の意見を裁判所に伝え、裁判所も裁量免責を認めてくれるケースが圧倒的に多いと思われます。
 
 しかし、冒頭に述べた「気になる話」では、相談者が、私のところに来る前に、別の法律事務所(事務所名は聞きませんでしたが、大々的に宣伝している事務所とのことです。)で相談したところ、「浪費があると、免責が認められにくい。」という回答をされたとのことなのです。相談者は、とても心配して「私はこれからどうしたらよいのでしょうか?」と大変困っておられました。私がこれまで扱ってきた破産事件の経験からすると、「浪費があると、免責が認められにくい。」という回答は間違っています。このような回答を信じて、別の弁護士に法律相談しなかった人は、自分は破産が認められないと信じて、一向に減らない債務を抱え続けることになるかもしれません。それでは、破産法が、免責制度(裁量免責制度を含む)を設けた趣旨が失われてしまいます。
 
 中には、浪費がひどすぎて、裁量免責が認められないケースもあるとは思いますが、私が相談を受けた方々は、裁量免責が認められるだろうと思われる方々でした。
 
 もし、弁護士から、「浪費があると、免責が認められにくい。」という回答をされた場合は、別の弁護士にセカンドオピニオンとして法律相談を受けられることをお勧めします。
posted by 大橋賢也 at 08:07| Comment(0) | 日記