2015年08月27日

来訪請求とクーリング・オフ

 今日は,訪問販売にあたるが,クーリング・オフを行使できるかどうか微妙な問題について取り上げます。以下のようなケースのご相談が多いので,具体例を用いてご説明しましょう。

 ある日,自宅のポストに,水回りに関する修理を請け負う業者のチラシが入っていました。チラシには,修理の内容ごとの値段が書いてあります。最近,洗面台の蛇口付近から水漏れするようになったので,業者に電話をして,水漏れの修理を依頼しました。
 業者に家に来て確認してもらったところ,蛇口のパッキンの交換ではなく,蛇口自体を交換する必要があると言われました。業者からは,蛇口を交換した場合の値段について詳しい説明がなかったのですが,チラシを見る限り1万円以内に収まると考えたので,交換を依頼しました。
 ところが,作業終了後,業者から渡された請求書には,10万円近い金額が記載されていました(予想の10倍程度!!)。
 このような場合,クーリング・オフを行使することができるでしょうか。

 訪問販売とは,簡単に言うと,呼んでもいないのに業者が自宅に来て,商品の売り込みをかけ,売買契約等を締結することを言います。訪問販売では,購入意欲もない消費者のところに業者が突然来て,勧誘を開始するわけですから,消費者にとっては,不意打ち的な勧誘を受けたことになります。そのため,よく考えもせずに契約してしまった消費者に,一度冷静になる機会を与えて,必要なかったと思えば,契約を無理由かつ無条件で解除できる権利を与えることにしたのが,クーリング・オフです。ちなみに,訪問販売では,業者から,法律で定められたことが記載された書面を受け取った日から「8日以内」であれば,クーリング・オフを行使することができます。

 では,本件のように,消費者が,業者に電話をして,修理を依頼した場合は,クーリング・オフを行使できるのでしょうか?
 先ほど述べたように,クーリング・オフが認められた趣旨は,不意打ち的な勧誘を受けて契約してしまった消費者を一定期間に限り,救済するという点にあります。そうすると,チラシを見て業者に電話をし,修理を依頼した消費者は,自分で考えた上で修理を依頼しているわけですから,不意打ち的な勧誘を受けたわけではありません。したがって,このように,業者に来訪請求した消費者は,基本的に,クーリング・オフを行使することができません。

 もっとも,本件では,当初,消費者が考えていた修理内容とは異なる修理内容をその場で業者から説明され,勧誘されたわけですから,消費者にとっては,実際に行われた勧誘や修理は,不意打ち的なものであったはずです。そこで,このような場合は,消費者が,業者を呼んでいるものの,自宅で不意打ち的勧誘を受けたとして,クーリング・オフを行使することができると考えて良いと思います。
 また,単に見積もりを取るために来てもらったが,その場で商品の勧誘を受けて,契約を締結した,という場合も,クーリング・オフを行使することができます。

 業者から,予想していた修理内容とは異なる説明を受けたり,金額が不明確だったりした場合は,金額の提示を求めたり,もう一度考えるために,その場では契約しない,という冷静な対応を取ることが大切です。
 もし,契約してしまったとしても,クーリング・オフを行使することができるかもしれませんので,その場合は,川崎エスト法律事務所(http://kawasakiest.com)までご連絡ください。
posted by 大橋賢也 at 08:32| Comment(0) | 日記
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